生前贈与にかかる贈与税を減らすためにできること

相続税対策として生前贈与は効果的な手段ですが、贈与税の負担が大きくなってしまうこともあり、本来の節税効果が薄れてしまいます。

できるだけ贈与税の負担を少なく生前贈与をしたいのであれば贈与税の仕組みを理解することが重要です。ここでその要点をご紹介します。

低額の贈与を繰り返す

もっとも基本的かつ誰でも利用できる非課税枠が基礎控除です。

1年間(11日から1231日までの期間)に、受贈者1人あたり110万円までの贈与なら、非課税となります。

 

《 贈与税における基礎控除の特徴 》

 

  • 対象者の制限はなし(親子間・夫婦間・兄弟間・他人間など関係なく適用可能)
  • 控除額は受贈者1人あたり年間110万円まで

 

そのため、贈与できる金額は小さくなりますが基礎控除額内に収めれば税負担なく贈与を実行することができるのです。

基礎控除額内に収まらない場合でも、低額の贈与なら適用される税率が小さいため節税効果は高くなります。

※控除後の課税価格が200万円以下なら「10%」、300万円以下なら「15%」、400万円以下なら「20%」・・・、3,000万円超で最大の「55%」というように税率は変動する。

 

また、贈与者が直系尊属、受贈者が18歳以上であれば特例税率が適用可能ですので、同額を贈与した場合でも税の負担は小さくなりやすいです。

※控除後の課税価格が200万円以下なら「10%」、400万円以下なら「15%」、600万円以下なら「20%」・・・、4,500万円超で最大の「55%」というように税率は変動する。

 

低額の贈与を繰り返す場合の注意点

①贈与者の死亡前の一定期間内(原則は7年間)の贈与は相続税の課税対象になる。長期的な計画を立てる場合は要注意。

②毎年同じ時期に同じ金額の贈与を続けると「定期贈与」とみなされ、一括贈与として課税される可能性がある。

相続時精算課税制度を利用する

1年単位で課税処理を行うのが原則的な方式(暦年課税)です。しかし一定の要件を満たす場合は手続きを経て「相続時精算課税制度」を選択することも可能です。この場合、まとまった額を非課税で贈与することができ、その分を将来の相続財産と合算して精算します。

 

《 相続時精算課税制度の特徴 》

 

  • 60歳以上の直系尊属から、18歳以上の子または孫への贈与が対象
  • 累計2,500万円までの特別控除が使える
  • 2,500万円を超えた贈与に対しては一律20%の贈与税がかかる
  • 一度選択すると暦年課税には戻れない
  • 基礎控除も併用可能

 

相続時精算課税制度は次世代への資産の移転を容易にするための制度です。
一般的には相続税より贈与税の方が税の負担が重くなるため、相続の機会を待って資産の移転が行われるケースも少なくありません。

そこで生前贈与を相続の前倒しと捉え、贈与時点でかかる贈与税は相続税の概算払いとし、相続が開始されてからあらためて課税の精算を行おうとするのが同制度なのです。

※概算払いですでに贈与税を納付しているが、相続税との二重課税を排除するための贈与税額控除が認められる。

 

大きな節税効果が得られる仕組みではありませんが、生前贈与をしても実質的な税負担を相続税と同じにできるという利点が得られるのです。
また、贈与時点では累計2,500万円まで控除ができるため、資産移転を実行しても[特別控除額2,500万円+110万円(1年あたり)]までは贈与時点での税負担がありません。

非課税制度を利用する

贈与の方法、贈与の目的によっては非課税制度が利用でき、大きな節税効果が得られることもあります。

生前贈与を検討している方は、下記の仕組み・制度についても要チェックです。

扶養義務に基づく生活費や教育費の贈与

財産の性質や社会政策的見地、そして国民感情を鑑みて贈与税を課すべきではないと考えられている財産がいくつかあります。

 

たとえば「扶養義務者間での生活費や教育費の贈与」が挙げられます。

 

日常生活を営むために親子間で費用を負担し合う、治療費や養育費を負担する、教材や文具日を負担する、学費を負担する、などの目的で行う贈与に関しては課税がありません。

※扶養義務者の経済力などを勘案して、社会通念上必要な範囲を超えていると課税を受ける可能性がある。

※必要な都度の贈与を想定しており、必要な範囲内でも将来分をまとめて贈与すると課税を受ける可能性がある。

 

そこでこの趣旨に沿って非課税となる場合なら、課税を受けることなく財産の移転を行うことができます。

配偶者控除の適用

夫婦間の居住用財産の贈与に特化した制度があります。

これは贈与税における配偶者控除であり、配偶者がマイホームの贈与を受ける場合に限り2,000万円分を非課税にする軽減措置が受けられます。

 

《 配偶者控除の特徴 》

 

  • 婚姻期間20年以上の夫婦が対象
  • 「居住用の不動産」または「居住用の不動産を取得のための資金」が対象
    ※贈与するのが敷地のみの場合は要注意。「夫または妻が当該敷地上に居住用家屋を持っている」または「配偶者と同居する親族が居住用家屋を持っている」のいずれかを満たさないと適用できない。
  • 非課税額は最大2,000万円

 

なお、同一配偶者間でこの控除が使えるのは一度だけです。また、贈与を受けた方は翌年315日までに当該不動産に居住すること(もしくは継続居住の見込みがあること)が要件とされていますので注意してください。

住宅取得等資金の贈与

若い世代の住宅取得を支援するための制度があります。

親や祖父母などから子・孫などへの贈与であって、贈与する資金が住宅取得等を目的とする場合、最大1,000万円まで非課税にすることが可能です。

 

《 住宅取得等資金の一括贈与の特徴 》

 

  • 直系尊属から18歳以上の子または孫への贈与が対象
  • 非課税にできる財産は住宅取得等のための資金
  • 非課税額は最大1,000万円まで
    ※省エネ、耐震性、バリアフリーなどに関して一定以上の水準にある家屋が対象。それ以外の家屋に関しては「500万円」まで。

 

なお、過去にこの非課税制度の適用を受けたことがある場合、過去の適用金額を控除した残額が上限となることに注意してください。そのほかにも、受贈者側が満たすべき要件、取得対象となる家屋に関する要件など、細かいルールが多くあるため実際に利用しようとする場合は注意が必要です。

教育資金の一括贈与

子や孫の教育の目的でする贈与に適用できる制度もあります。

 

直系尊属と受託者で教育資金管理契約を交わし、これに基づく信託受益権を取得した個人が適用を受けられます。

この個人は契約締結日において30歳未満でなければならず、その後40歳に達すると契約は終了となります。

 

《 教育資金の一括贈与の特徴 》

 

  • 直系尊属から30歳未満の子や孫に対する贈与が対象
  • 非課税額は最大1,500万円まで
    ※学習塾や習い事など学校等以外に対する費用については500万円まで

 

なお、受贈者が30歳になった時点で残額がある場合、その時点で贈与があったとみなされることに注意してください。また、同制度は単純な贈与では適用できません。まずは贈与者が資金を金融機関へ拠出し、金融機関が契約に基づいて子や孫などに払い出しを行うことになります。

直接渡してしまうと適用を受けられないため注意してください。

結婚・子育て資金の一括贈与

若い世代の結婚や子育てを支援するための制度もあります。

 

直系尊属と受託者で交わす結婚・子育て資金管理契約に基づいて信託受益権を取得した場合、一定要件を満たせば1,000万円まで非課税にできるという仕組みです。

 

《 結婚・子育て資金の一括贈与の特徴 》

 

  • 直系尊属から18歳〜49歳の子や孫への贈与が対象
  • 結婚式や結婚に伴う引越し費用、妊娠・出産・不妊治療費用、子どもの医療・保育費用などを目的とする贈与であること
  • 非課税額は1,000万円まで(うち結婚資金は300万円まで)

 

教育資金の一括贈与における制度と同じく、直接本人へ贈与したのでは適用を受けられません。

金融機関に対してまずは資金を拠出し、契約に基づいて金融機関が払い出しを行う形で受贈者が利益を受ける必要があります。

特定障害者扶養信託を活用した非課税制度

障害者の生活を支援するための制度もあります。

 

親などが委託者、信託銀行等が受託者、そして障害者を受益者とする特定障害者扶養信託契約を交わします。通常は、委託者を贈与者、受益者を受贈者として信託受益権には贈与税が課税されるのですが、生活能力に乏しい心身障害者の生活のために開始するこの信託に関しては非課税になります。

 

《 特定障害者扶養信託による非課税制度の特徴 》

 

  • 特定障害者が対象
  • 非課税金額は3,000万円まで(特別障害者は6,000万円まで非課税)

 

なお、過去にもこの仕組みによる非課税の適用を受けているときは、過去に控除済みの額を3,000万円から差し引かなくてはなりません。1回目に贈与とみなされた信託受益権の価額が2,000万円であれば、次回以降利用可能な非課税枠は残りの1,000万円ということになるため注意してください。

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