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相続における債務控除|対象になるもの・ならないもの

相続税の課税価格を計算するとき、相続人が取得した各種財産の価額をそこに加えていくことになりますが、相続人が負担した債務に関しては逆に控除をすることになります。この計算上の処理を「債務控除」と呼びます。

 

納税の負担を少しでも軽くするためにもこの債務控除についてしっかりと把握することが大事ですので、「どんな債務なら控除できるのか」「いくらまで控除できるのか」というポイントを当記事で押さえておきましょう。

債務控除の概要

相続税を計算するときは、相続人が取得した財産のうち、債務については控除をした「正味財産」を算出しないといけません。

この正味財産へ課税がなされます。

 

そこで課税価格を計算するときは債務の分を考慮する必要があるのですが、控除できる債務の範囲は納税者によって異なりますし、被相続人から承継した債務ではない葬式費用についても控除ができるなど、特殊なケースもあるため留意してください。

債務控除が適用できる人

債務控除が適用できる人は「相続人」と「包括受遺者」です。

 

※相続人は被相続人の財産に属する一切の権利義務を承継するため、債務についても当然に承継する。

※包括受遺者は、遺言書の指定に従い、一定の割合で財産の遺贈を受けた者のこと。その割合に応じて積極財産も消極財産も取得することになる。

 

なお、債務は相続放棄をすることでその負担を回避することができるのですが、相続放棄をした方でも葬式費用について負担をするケースがあります。

この場合は相続放棄者であっても適用を受けられます。

納税者別の債務控除の範囲

相続税の納税者は、相続人の住所や被相続人の住所、国籍などの違いによりいくつかの区分が設けられています。

 

そして国内に居住するほとんどの方は「無制限納税義務者」と呼ばれる区分に該当します。

この場合、取得したすべての財産が課税対象になるとともに控除範囲も特に制限されず“相続開始時に現に存するもの”が控除可能となります。
これには公租公課も含まれますので、例えば被相続人が支払うべきであった所得税や住民税に相当する額も控除できます。

 

一方、在留資格を持って日本に一時居住する方であって被相続人が外国人であるケースなどでは「制限納税義務者」と呼ばれる区分に該当します。

この場合、取得した国内財産のみに課税が制限されるとともに、控除範囲についても“課税対象になった国内財産に係る債務”に制限されます。
例えば国内にある不動産の固定資産税や国内で活動していた事業上の債務などは控除できる反面、国内財産に係る債務といえなければ控除することができません。

債務控除の適否について

基本的に相続人が承継した債務は広く控除をすることが認められます。

 

しかし葬式費用や公租公課、相続財産に関する費用、保証債務などは、控除の対象になるもの・ならないものの判別が少し複雑ですので以下で控除の適否について整理しておきましょう。

葬式費用

葬式費用は、被相続人から承継するものではありません。相続が始まってから発生する債務ですので、本来は遺族の方などが負担すべきものです。

ただ、相続の開始に伴って必然的に発生する費用であって社会通念上も相続に伴う必要経費と考えられていることなどから、債務同様に控除することが認められています。

 

しかしながら、葬式に絡むからといってそこで負担したあらゆる費用が控除できるわけではありません。

下表のとおり控除対象にならないものもありますので注意してください。

 

控除対象になるもの

控除対象にならないもの

・通夜費用

・納骨費用

・お布施

・戒名料

・通夜葬儀会場設置費用

・遺体の運搬費用

・香典返しの費用

・初七日法会費用

・四十九日法会費用

・遺体の解剖費用(裁判上、あるいは医学上のため特別に要した処置の費用)

・墓地購入未払金(相続前に購入した墓地に関する代金の未払い分)

公租公課

次のような公租公課に関しては、債務控除をすることが可能です。

 

  • 被相続人が亡くなった時点で納税義務が確定している
  • 被相続人が支払うべきであった延滞税や各種加算税
  • 賦課期日の定めがある地方税
    > 住民税
    > 固定資産税
    > 都市計画税 など

 

被相続人に納税義務があった「所得税」や「贈与税」、賦課期日1月1日とされている「住民税」や「固定資産税」、そして被相続人が過少申告や滞納などをしていたことが理由で発生した附帯税(延滞税や加算税のこと)に関してはいずれも控除の対象となるものです。

 

しかし亡くなった年における所得税の申告(準確定申告分)に係る附帯税は控除ができません。

このときの附帯税は相続人の怠惰やミスなどが原因で発生するためです。

相続財産のための費用

相続開始後、相続財産の維持管理や遺言の執行、不動産であれば登記費用などが発生することがあります。

また、弁護士への依頼や税理士への依頼で報酬の支払いが発生することもあるでしょう。

 

これらは相続に伴う費用ではありますが、相続により取得した債務ではありませんし、債務控除の適用を受けることはできません。

保証人としての債務

被相続人が保証人になっていた場合、その保証債務に関しても相続対象となります。

※保証債務:主債務が履行されなかった場合、その債務者に代わって履行をする債務のこと。

 

この保証債務に関しては原則として債務控除ができません。主債務の履行がされれば負担がありませんので、相続開始時点で義務が確定していないのです。
ただ、「債務者が弁済できない状態にあると明らかである場合など保証人が債務の履行をしないといけないことが確定的」かつ「債務者に求償をしても返還を受ける見込みがない」というケースでは保証人の債務として控除をすることが認められます。

 

同様に、その存在について係争中である債務や連帯債務に関しても控除は原則認められません。

しかし、相続をした方による負担が確定的な場面だと債務控除が例外的に認められることもあります。

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