不動産があるときの相続税の計算方法|評価方法や計算手順について
不動産を相続するとき、登記申請により所有権の名義を変更するほか、財産としての価値を評価して相続税がかからないかどうかを一度計算しておくことが大事です。不動産単体で相続税が課税されるわけではありませんが、金額が大きいケースがよくあるため、以下で紹介する流れに沿って相続税の計算を進めていくと良いでしょう。
計算手順1:遺産全体の調査
相続税の計算は、財産別、相続人別に独立して行うものではありません。各相続人が取得した財産の価額をいったん合計して、相続税の総額を算出しないといけません。そこでご自身の取得した不動産だけでなく、遺産全体を調べていく必要があります。
相続税の計算上、次の財産の有無を整理しなければなりません。
- 相続人が相続で得た財産
- 受遺者が遺贈で得た財産
- 受贈者が死因贈与で得た財産
- みなし相続財産
> 生命保険金
> 死亡退職金
> 特別寄与料 など
- 相続時精算課税に基づく贈与で得た財産
- 相続開始前3年以内に贈与で得た財産
- 債務・葬式費用
これら財産について存在が確認された場合は、評価額を調べていきます。自動車や腕時計、貴金属などの動産、有価証券など、金額が明らかでないものについてそれぞれ「〇〇万円」と相続税評価額を査定していきます。
不動産の相続税評価額を調べる
不動産の相続税評価額を調べるには、一定の評価方式に沿って計算を行う必要があります。
《宅地の相続税評価額の調べ方》
宅地に路線価という1㎡単位の価額が付けられているときは「路線価方式」により評価を行います。
※路線価が付いているかどうかは国税庁HPから検索が可能。
宅地の相続税評価額 = 路線価×宅地の面積×調整率
調整率は、土地の状態に応じて評価額に補正を加えるための値です。綺麗な形をしており使いやすい土地もあれば、同じ広さでもいびつな形をしており使いにくい土地もあります。これらを同じ評価額とするべきではありませんので、調整を加えることが認められています。
なお、路線価が付いていない宅地については固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて評価する「倍率方式」が採用されます。倍率についても国税庁HPから確認可能です。
《建物の相続税評価額の調べ方》
建物については固定資産税評価額をそのまま相続税評価額として使うことができます。ただし、所有者自らが自宅として使うのではなく、貸家として他人に貸しているときは、賃貸割合に応じて減額することができます。
小規模宅地等の特例が使えるか確認する
不動産の中でも土地は相続税評価額が大きくなりやすいです。建物は建築から何十年も経過すると建築当初から価値が大きく落ちることが多いですが、土地については単純に取得からの経年で価値が下がっていくものではありません。
そのため土地の有無は相続税の負担に大きな影響力を持つところ、あまりに大きな税負担がかかってしまうと土地の相続が難しくなってしまい、売却したり物納したりして結局手元に残せないという問題が起こり得ます。
そこで居住用や事業用など、生活のために必要な宅地に関しては、特定の要件を満たすことで相続税評価額を大幅に下げることが認められています。この措置を「小規模宅地等の特例」と呼びます。
特例の適用を受けられる面積が限られていますが、最大80%も減額することができます。そのため土地の相続においては、小規模宅地等の特例が使えるかどうかの確認はとても重要です。
生前贈与された不動産に注意
「相続開始前3年以内に贈与で得た財産」については調べる必要があると説明しましたが、これは「生前贈与加算」と呼ばれる相続税法上のルールに基づきます。相続の直前に行われた贈与は実質相続による財産の移転と見て、相続税の計算に含めないといけないのです。
なお令和6年1月1日以降に行われる暦年贈与から、生前贈与加算に係る加算期間が3年から7年に随時延長されます。
そのため不動産を贈与していたとき、過去に贈与税の計算をしていたと思われますが、再度相続税についても計算をしないといけなくなります。
※二重課税になる分は贈与税額控除の適用が可能。
ただし、贈与税における特別の措置として非課税枠を利用していたときは、生前贈与加算をする必要がありません。例えば婚姻期間20年以上の夫婦間であれば、居住用の不動産等の贈与について2,000万円の控除をすることが認められています。その範囲内で贈与をしていたときは、生前贈与加算すべき金額はありません。
その他、子どもや孫に対する住宅取得等資金の贈与など、非課税枠を利用した分については生前贈与加算を避けることができます。その仕組みについても理解して相続税の計算をしなければ正しい税額は算出できません。
計算手順2:課税価格の計算
相続人や受遺者が取得した財産の合計価額に相続税が課税されるわけではありません。基礎控除を適用して残った価額が「課税遺産総額」であり、課税対象になる具体的な金額となるのです。
基礎控除額は次の計算式により求められます。
遺産に係る基礎控除額 = 3,000万円 + 法定相続人の数×600万円
相続人が0人で、遺贈により不動産を取得した方がいるときでも、3,000万円は必ず適用することができます。そのため遺産の相続税評価額の総額が3,000万円以下であるときは課税価格が0円であり、相続税の負担がありません。
分割方法別の計算方法
相続人や受遺者が取得した財産の合計価額を調べるとき、「相続人Aの分+相続人Bの分+相続人Cの分+受遺者Dの分」といった形で足し算をしていきます。しかしこれは現物分割として遺産を分け合ったときの方法です。もし不動産を現物分割ではなく代償分割や換価分割したのであれば、計算方法が変わってきます。
- 現物分割:遺産を現物のまま分割すること。遺産分割の原則的方法。
- 代償分割:共同相続人の一部が遺産の現物を取得して、当該人物が他の共同相続人に対して債務を負担する分割方法。
- 換価分割:共同相続人が遺産を金銭に換価して、その代金を分割する方法。
不動産を代償分割したとしましょう。平等な相続とするため、不動産を取得した方がその他の方に代償金を支払うことになります。そこで代償金を支払う方と代償金を受け取る方とで処理が変わります。
代償金を支払った方:
相続・遺贈で取得した財産の価額-交付した代償金の価額 = 取得財産の価額
代償金を受け取った方:
相続・遺贈で取得した財産の価額+交付された代償金の価額 = 取得財産の価額
例1)相続税評価額3,000万円の土地をAが取得してBとCに1,000万円ずつ現金を支払った。それぞれの取得価額は次の通り。
Aの取得財産の価額:
3,000万円-代償金(1,000万円+1,000万円) = 1,000万円
BおよびCの取得財産の価額:
代償金1,000万円
例2)相続税評価額3,000万円の土地をAが取得。遺産分割時の時価、つまり取引価額は6,000万円であったため、相続税評価額ではなくこの取引価額を基に代償金の額を決めて、Aはそれぞれに2,000万円ずつを支払った。それぞれの取得価額は次の通り。
BおよびCの取得財産の価額:
代償金2,000万円×(相続税評価額3,000万円/取引価額6,000万円) = 1,000万円
Aの取得財産の価額:
相続税評価額3,000万円-(1,000万円+1,000万円) = 1,000万円
換価分割をしたときは次の計算式に基づいて各自の取得財産の価額を調べます。
(換価分割対象の相続税評価額)×(各自が取得した換価代金)/(換価代金の合計)
相続税評価額3,000万円の土地を4,000万円で売却し、相続人2人が2,000万円ずつ取得したのであれば、「3,000万円×1/2=1,500万円」が各自の取得財産となります。
計算手順3:税率をかけて相続税の総額を計算
課税価格が明らかになれば、税率を使って「相続税の総額」を計算します。
ただしその前に、課税価格をいったん法定相続分で分割して、その後の金額に対応する「10%~55%」の税率、15%以上の税率が適用されるときは税率に対応して「50万円~7,200万円」の控除額を適用します。その適用後の金額を再度合計することで相続税の総額が明らかになります。
累進課税制度が採用されており、法定相続分で分割したときに6億円を超えるような場合は55%もの税率が適用されてしまいます。もし分割後の金額が相続人AおよびBそれぞれ2,000万円だとすると、「2,000万円×15%-50万円=250万円」となります。これを合計した500万円が相続税の総額です。
計算手順4:1人あたりの相続税を計算
最後に、相続人や受遺者など、個別の相続税について計算を進めていきます。
上の計算手順で導き出された相続税の総額を、実際の取得割合に応じて分割するのです。その上で、各自適用を受けることができる税額控除があるのであれば、その分を差し引いて、税務署に納めるべき各自の相続税が明らかになります。
相続税の総額が500万円。相続人Aが遺産の3/5、相続人Bが遺産の2/5を相続したのであれば、「相続人A:300万円」「相続人B:200万円」が各自の相続税となります。
ただし以下の税額控除が使えるかどうかは要確認です。
- 贈与税額控除
- 配偶者控除
- 未成年者控除
- 障害者控除
- 相次相続控除
- 外国税額控除
例えば相続人Bが5歳の子どもである場合、未成年者控除により130万円が控除できますので、相続税の額は「200万円-130万円=70万円」となります。もし相続人Aが55歳の障害者である場合、障害者控除により300万円が控除できますので、相続税の額は「300万円-300万円=0円」となります。
このように税額控除により実際に納めるべき金額が大きく変わることもあります。不動産を取得すると大きな税額が発生する可能性も上がりますが、各種特例、控除の仕組みを使って税負担を小さく抑えられることもあります。
細かい計算は税理士に頼るのがおすすめです。相続税は複雑な計算を要しますし、計算ミスによるペナルティのリスクもあります。
また、税理士に不動産の評価も任せられます。単に計算を行うだけでなく、土地の状態を正しく評価して相続税評価額が低くなるよう工夫をするなど、節税に向けた働きかけも期待できます。

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