相続の対象となる財産・ならない財産
相続には相続の対象となる財産とならない財産が存在します。
それぞれどんなものか理解しておくことで相続税の計算を誤るなど不必要なミスを避けることに繋がります。
相続の対象となる財産がどの程度存在するのかを把握することは、円滑な相続の第一歩となります。
本稿では、相続の対象となる財産、ならない財産の双方を解説いたします。
相続の対象となる財産
相続においてはプラスの財産とマイナスの財産と言われる2種類が存在します。
それぞれ解説いたします。
プラスの財産
遺産のうち課税対象となるのは現金、不動産、債権、株式、骨董品等、生命保険金、贈与財産などです。
こうしたプラスの遺産、つまりは資産です。具体的には下記のものが挙げられます。
①不動産やその権利
不動産は主に土地と建物に分けて考えるとわかりやすくなります。
土地としては、宅地(住宅を立てるための土地)、農地、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地、雑種地等が挙げられます。
建物としては戸建てやマンション、店舗、倉庫、工場、駐車場など様々なものがあります。
また、土地や建物に関する権利も相続の対象となります。
具体的には借地・借家権、地上権などがあります。
②預貯金や現金など
預貯金には、本人名義の預貯金だけでなく、家族名義になっているものの実質的には本人に属するものも含む場合があります。これを名義預金といいます。
また認知症で実質的に第三者が財産管理を行っている場合も遺産として認められます。
③有価証券類
有価証券には、さまざまな種類があります。
国債、地方債、社債、株式、証券などがあげられます。
④債権
貸付金債権(いわゆるお金を貸した場合が該当します)や、還付金、損害賠償請求権、慰謝料請求権などがあげられます。
⑤知的財産権
あまり一般的なものではありませんが、知的財産権も相続の対象となります。
たとえば、著作権、工業所有権(意匠権や特許権など)などがあげられます。
⑥事業用財産
機械器具、農耕具、商品、原材料、売掛債権(売掛金)など、個人事業のために用いてそれにより生じた財産は、相続財産となります。
こちらに関しては個人事業主であった場合、注意して確認しましょう。
⑦家財類
自動車や貴金属、絵画骨董品などがあげられます。
小物類である高級腕時計や万年筆なども資産性が認められれば、遺産として相続の対象となります。
⑧その他
その他にもゴルフ会員権など資産性が存在するものは、相続の対象となる遺産と認められます。
マイナスの財産(負債)
こうした資産とは反対のマイナスの遺産、つまりは負債が債務控除の対象となる負債です。
具体的には、ローンを含む借入金や所得税などの税金、葬式費用、医療費や家賃、クレジットカードの決済金などの未払い料金などが対象となります。
具体的には以下のようなものが、マイナスの財産として認められます。
①借入金
借金などの債務、住宅ローンや車のローン、医療費の分割支払残高、クレジット分割の残高などがあげられます。ただし団信に加入している場合は、ローンの残額を債務控除の対象とすることができません。
②未払金
相続時までに発生した土地や建物を借りる際の賃借料や水道光熱費、通信費、管理費、医療費などが相続時に未払いの場合、債務控除の対象となります。
③敷金・保証金・預り金・買掛金・前受金
たとえば、第三者に土地を貸している場合には、その敷金や保証金などが相続の対象となります。
また、個人事業主など事業を行っていて買掛金、前受金が存在する場合はこれらも相続の対象となります。
④保証・連帯債務
信用保証や身元保証は原則として相続されませんが、通常の保証債務は相続されます。
第三者の連帯保証人になっているケースの場合、知らず知らずのうちに相続してしまうという場合も存在するので十分に注意しましょう。
⑤公租公課
相続時に未払いの住民税、固定資産税、贈与税、所得税、消費税、国民健康保険料などがあげられます。
相続の対象とならない財産
では、相続の対象とならない財産にはどのようなものがあるのでしょうか。
下記で詳しく見ていきましょう。
死亡一時金や未支給年金
公的年金機関から支払われるものは、相続の対象となる財産にはなりません。
また、相続税の課税対象にもなりません。
給付される葬式費用や埋葬費
国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合、葬式を行った人に対して葬式費用が支給されます。
また、会社員の場合は会社加入の健康保険組合などから埋葬料が支給されます。
これらも相続の対象となる財産にはなりません。
遺産の評価について
遺産には評価という概念が存在します。
相続開始の時点における時価をもって遺産の価値を評価します。
この評価において注意が必要なのは評価が難しい資産の評価をどのように行うのかということです。
例えば、価値が変動しやすい株式や価値の普遍的な決定が難しい不動産などが挙げられます。
株式なら、終値による評価や配当還元による評価など複数の評価方式があります。
不動産や他の評価が難しい資産においても資産評価の方法が複数あることが多いです。
こうした場合、評価方式によって相続税の支払額も大きく変わってくるため、どの方式を採用するかには十分に注意しましょう。
みなし相続財産
本人の所有している財産以外であっても相続財産となるものがあり、みなし相続財産と呼ばれ、相続税の課税対象となっています。
代表的なみなし相続財産は以下の通りです。
生命保険金、退職手当金
生命保険金と退職手当金は、別途控除枠があるのが特徴です。
生命保険金と退職手当金は、500万円×法定相続人の人数分だけ保険金、退職手当金より控除することができます。
なお、みなし相続財産として認められるのは、保険の対象となる人と保険料支払者がともに被相続人(お亡くなりになった人)であり、受取人が相続人の場合に限られます。
相続開始前3年(改正後7年)以内に被相続人から贈与された財産
生前に贈与を行い、まもなくして相続が発生した場合、実態的に贈与ではなく相続と捉えるべきとの考え方から、相続財産として扱われます。
なお、贈与税の配偶者控除の要件を満たす場合や住宅取得資金の贈与など一定の場合には相続前の贈与でも相続財産として扱われません。
低額での譲渡
本来の相続の評価額よりかなり低い価格で遺産を相続したときにかかります。
具体的には遺産の時価と売買価格の差額に対して、相続税が課税されます。
債務の免除
遺言や相続の過程で借金を肩代わりしてもらって返済した場合、その金額分、相続が行われたとみなされて、相続税が課税されます。
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