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相続人が複数いるときの注意点! 遺産分割などの手続では全員の協力が重要

相続人は、2人や3人、もっと多くの人数になることがあります。遺産分割協議など、手続によっては相続人全員の参加が必要であり、人数が多くなるほど注意すべきことも増えてきます。相続人全員でやるべき手続とは具体的に何なのか、そしてどんな点に注意が必要なのか、当記事を参考にしていただければと思います。

注意点①戸籍から全相続人を確定させる

相続人が複数いるとき、「戸籍を集めてすべての相続人の存在を確定させること」が必要です。

 

相続人が明らかにならなければその後の手続が進められないからです。そこでまずは相続する権利を持つ方を調べていきます。戸籍謄本等を集めるのが基本的な作業内容となりますが、前提として民法に規定されている相続人の範囲を知っておかないといけません。

 

相続人の範囲は次の通りです。

 

《 相続人の範囲 》

  • 配偶者
  • 子、またはその代襲者
  • 直系尊属
  • 兄弟姉妹、またはその代襲者

 

※いずれも亡くなった被相続人から見た立場。

※直系尊属とは父母・祖父母などのこと。

※代襲者は、本来相続人になるはずであった人物の子ども。

 

《 集める戸籍の種類 》

  • 戸籍謄本 :現在在席する戸籍の全員についての記載事項を写した書面
  • 除籍謄本 :戸籍の構成員すべてがいなくなった戸籍について全部を写した書面
  • 改製原戸籍:戸籍の編製方法について変更(法改正)があったときの、改製前の戸籍

注意点②相続人全員で協力して手続を進める

相続人が複数いるときは、「相続人全員で協力して進めないといけない手続」があることに注意しましょう。

 

限定承認をするとき、遺産分割協議をするときは相続人全員、また、小規模宅地等の特例を利用するときは特例の対象となり得る宅地等を取得した全ての人の同意が必要です。

限定承認の申述

「限定承認」をするには、相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に「相続人全員」で共同して手続をしないといけません。

 

そもそも限定承認とは、相続で得たプラスの財産の範囲に限って債務等の責任を負うという相続の方法を指します。他の「単純承認」と「相続放棄」という手続の方が一般的ですが、状況次第では限定承認も検討します。

 

単純承認

・相続財産について、債務も含めてそのまま承継する方法。

・無条件、無制限に相続する。

・相続財産を処分したときや、相続開始を知って3ヶ月が過ぎたときは、自動的に単純承認をしたことになる。

相続放棄

・初めから相続人ではなかったことにすること。

・借金などの債務、その他プラスの財産も含めて一切承継しない。

・債務超過が明らかな場面で利用される。

限定承認

・すべて相続するが、プラスの財産の範囲内で債務を承継するため、予想外に債務が大きくても損失が避けられる。調査後プラスの財産の方が大きいことが明らかになればその分利益を受けることができる。

・債務超過が明らかでないとき、あるいは不動産など特定の財産を手放したくない場面で利用される。

 

単純承認すべきか相続放棄すべきか、判断が難しいときは限定承認を検討しますが、手続が面倒であることが難点です。そのため限定承認に応じてくれない相続人が出てくることもありますが、その場合は限定承認できません。
このとき、協力的でない方に相続放棄を勧めるのも1つの手です。相続放棄をしてもらえばその方は相続人ではなくなりますので、残りの方で限定承認をすることが可能となります。

遺産分割協議

遺産分割協議にも、相続人全員の参加が必要です。

 

相続が始まると亡くなった方の権利義務は相続人へと自動的に移転するのですが、相続人が複数いると「共有」の状態となります。そこでこの共有状態を解消するには、各相続人の単独所有へと変えるための手続が必要です。これを「遺産分割」と呼びます。

※共有のままにしておくことも違法ではないが、その後トラブルが起こりやすいため共有は基本的に避けることが推奨される。

 

なお、遺産分割協議に参加するのは相続人だけとは限りません。以下に挙げる人物の参加が必要なケースもありますので注意しましょう。

 

遺産分割協議の参加者

補足

相続人

原則的な参加者

弁護士

相続人から依頼を受けた場合、代理人として参加する

包括受遺者

遺言書で、割合で指定された遺贈を受ける人物は参加する

相続人から相続分を譲り受けた者

相続分は譲渡することが可能で、その譲渡を受けた者は遺産分割協議に参加する

相続人が未成年者の場合

親権者

親権者が共同相続人でないときは、親権者が代わりに参加する

特別代理人

親権者が共同相続人であるときは、特別代理人が選任されて参加する

未成年者後見人

親権者がいないときに選任されて参加する

相続人の判断能力が十分でない場合

成年後見人

成年後見人が共同相続人でないときは、成年後見人が代わりに参加する

保佐人、補助人

保佐人や補助人が共同相続人でないときは、遺産分割についての代理権が与えられた保佐人、補助人が参加する

成年後見監督人

成年後見人等が共同相続人であるが、成年後見監督人等が選任されているときは成年後見監督人等が参加する

特別代理人

後見人等が共同相続人であるときは、特別代理人が選任されて参加する

 

このように、純粋な相続人以外の人物も場合によっては遺産分割協議に参加することがあります。全員が揃ったことを確認しないまま協議を始めないように注意しましょう。一部の者だけで遺産分割をしても、その協議は無効になってしまいます。

小規模宅地等の特例

居住用の宅地や事業用の宅地について相続をするとき、所定の要件を満たすと一定面積まで評価額の最大80%を減額することができます。この「小規模宅地等の特例」は、不動産相続をするときは必ず知っておきたい仕組みです。

 

ただ、「小規模宅地等の特例の対象になる宅地を取得したすべての人物が同意しないと、適用を受けることができない」ことに注意が必要です。

 

遺産分割協議ではこの点も考慮して、誰が土地を取得するのか決めていくようにしましょう。

注意点遺産分割協議書を作成する

必要な人物が揃い、遺産分割協議に合意が取れたとしても、まだ安心することはできません。遺産分割が終わった後で「やっぱり気に入らないことがある」と一部の当事者がやり直しを求めてくる可能性があります。

 

その際、書面などの証拠が作られていないと「そもそも遺産分割協議は行われていなかった」「〇〇についてはまだ話がついていなかった」などといった主張を許す余地が残ってしまいます。

 

そこで、遺産分割協議の作成は必要な作業であると理解しておきましょう。相続登記や預貯金についての相続手続でも提出を求められます。

 

作り方に決まりはありませんが、次の手順に沿って進めておくと安心です。

 

  1. 遺産分割協議の参加者全員の実印と印鑑登録証明書を用意する
  2. 遺産に含まれる資産や債務をリスト化する
  3. すべての財産について特定できるように記載する
    例)不動産であれば登記事項証明書と一致するように所在や地番、地積などを記載
  4. あとで遺産が見つかったときの分割方法について記載する
  5. 代償分割(一部の者が遺産の現物を取得し、金銭をその他の者に支払う分割方法)があるときは代償金の額と支払い期限を明記する
  6. 参加者全員が所持できるよう人数分を作成する
  7. 参加者全員が署名・押印し、ページ数が複数になるときは製本して割印もする

注意点④2次相続を考慮した遺産分割

遺産分割をするときは「相続税の負担」にも注意しましょう。総遺産が同じでも分割方法によって全体としての税金の負担が変わることもあります。

 

その上で「2次相続も考慮して分割すること」にも注意が必要です。

 

目の前の税負担だけでいうと、配偶者控除を使えば簡単に税額を軽減することが可能です。しかし当該配偶者についてさらに相続(2次相続)が発生すると、配偶者控除の恩恵なく相続税の負担を負うことになります。

 

そのため相続人が複数いるなら、現在および将来の相続税の負担も踏まえた遺産分割をすることが大事です。分割方法に悩むこともあると思いますが、相続税に強い税理士に相談すると解決できるでしょう。

注意点遺産分割のやり直しは極力避ける

遺産分割が確定して遺産分割協議書が作成されていたとしても、相続登記が完了していたとしても、全員の同意があれば遺産分割をやり直すことは可能です。

 

ただし、極力遺産分割は何度もやり直すことのないようにすべきです。手間がかかるだけでなく、税金の負担が増えてしまうことがあるのです。

 

通常、遺産分割による遺産の取得には相続税が課税されるところ、遺産分割のやり直しによる再分配は、贈与があったものと評価されるケースがあります。どうしても遺産の取得について修正したい点があるときは、税理士にも相談して方法を検討するようにしましょう。

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