贈与税における配偶者控除| 自宅として使う不動産を贈与するときに使える特例を解説
財産を他人に無償で与えたとき、たとえその相手が夫や妻であったとしても贈与税が課税されます。
贈与税の負担は贈与する財産の大きさによりますので、土地などの不動産だと1件贈与するだけで大きな税負担が発生することもあるのです。
しかし夫婦間の贈与なら「配偶者控除」が使えます。
税負担を軽減あるいはなくせることもあるため、配偶者への贈与を考えている方はぜひ知っておきたい特例です。
当記事で、控除額や特例を利用する要件などの詳細を解説していますので参考にしてください。
贈与税の配偶者控除の概要
家族間で受け渡しのあった贈与財産にも贈与税は課税されますが、配偶者の場合はお得に贈与のやり取りができます。
いくつか条件はありますが、配偶者控除を使うことができれば贈与税の負担は大幅に軽減させられます。
相続を待たずに不動産を譲渡したい方はぜひ利用を検討したい制度になっていますので着目しておくと良いでしょう。
2,000万円を控除できる
贈与税における配偶者では2,000万円もの控除額が使えます。
しかもこれは基礎控除額110万円に上乗せする形で適用させられますので、その年における控除額は最大2,110万円にまで増額させられることとなります。
課税価額2,000万円ほどの財産に対しては税率50%が適用されますので、本来なら贈与した財産に対する半分ほどの価額が税金として徴収されてしまいます。しかし配偶者控除を使うことができればその負担を大幅に軽減、場合によっては一切の負担を負うことなく贈与ができます。
自宅として使う不動産が対象
贈与税の負担を大幅に軽減させられるこの控除制度ですが、配偶者に贈るもののうち「自宅として使う不動産」のみを対象としています。
そのため現金を贈与するときや株式を贈与するときなどには2,000万円の控除を適用させられません。
厳密には「居住用不動産」または「居住用不動産を取得する金銭」であることが求められています。
居住用不動産とは「専ら住まいとして使う家屋や土地、土地上の権利」などを指しています。
※国内にある不動産に限る。
また居住用不動産を購入するために使う金銭の贈与についても適用を受けられますので、現金の贈与でもその目的が居住用不動産の購入などにあるのなら配偶者控除が使えます。
要件の詳細
他にも配偶者控除を使うためには満たさないといけない次の要件があります。
➀ 婚姻期間は20年を過ぎていること
※1年未満の端数があっても切り上げない。そこで婚姻期間が19年と10ヶ月の場合には20年を過ぎていないため、この控除は利用できない。
② 贈与日の翌年3月15日までに取得した不動産に住んでいること
※今後も住み続ける予定でなくてはならない。
③ 同じ配偶者からの贈与に関して過去に配偶者控除を利用していないこと
税務署への申告も必要
配偶者控除の利用条件を満たす場合でも、申告手続をしておかないとその恩恵は受けられません。
納付すべき税額が発生しないとしても必ず税務署に対して申告書を提出しましょう。
そこで贈与税の申告書を作成することは当然必要ですし、次の書類の添付も欠かせません。
- 贈与日から10日を過ぎた日以後に作られた戸籍謄本(または戸籍抄本)
- 贈与日から10日を過ぎた日以後に作成された戸籍附票の写し
- 適用を受ける物件の登記事項証明書、その他当該物件の取得を証明する書類
- 金銭ではなく不動産そのものの贈与を受けたときは評価明細書等
適用できる不動産の詳細
配偶者控除が適用できる不動産には、家屋のほか、自宅として使う建物の敷地も含まれます。
また、家屋と敷地は一括で贈与される必要はなく、いずれか一方のみの贈与を受けたときでも問題はありません。
100%を居住用として使っていないときも、信託に基づく権利であっても利用できる余地はあります。
土地だけの贈与でも適用できる
純粋に土地のみをもらい受けてもそこで生活をすることはできません。そこで土地だけの贈与に対して配偶者控除を適用させるには、①受贈者となる夫・妻が当該土地上の家屋を持っていること、または②受贈者となる夫・妻と同居する親族が当該土地上の家屋を持っていること、のいずれかを満たす必要があります。
何もない更地のみを贈与したときは適用できませんので注意しましょう。
居住部分が90%以上ならまとめて適用できる
配偶者控除は居住用不動産の贈与が対象ですので、居住以外の目的で使われる不動産については適用対象外です。
ただ、物件によっては居住用と事業用が兼ねていることもあります。
このときでも“居住部分が90%以上の割合を占めている”のであれば、まとめて居住用不動産として控除の適用を受けられます。
一方、居住部分が90%未満のときは部分的な適用となります。居住部分の割合に応じて贈与税の計算をしないといけません。
不動産信託における権利にも適用できる
家族信託などで不動産を信託財産とするケースもあります。
このとき、元々不動産を持っていた人物を委託者、不動産の管理を担当する受託者、そして信託財産からの利益など恩恵を受ける受益者を設定します。
厳密には贈与ではありませんので、受益者は所有者になるわけではありません。
しかし実質的には受益者が所有者と同等の恩恵を受けられるため、信託に関する権利に対して贈与税が課税されるのです。
ただ、この権利に関しても配偶者控除の適用対象となっています。
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