住宅取得等資金の贈与について| 非課税限度額や適用の要件や手続とは
自宅の購入や新築、増築・改築の工事をするには多額のお金がかかります。その資金を援助したいと考えている方、親や祖父母に援助してもらいたいと考えている方は、税制上の優遇措置が受けられないか一度確認してみましょう。住宅の取得等を目的に贈与される資金は一定額まで非課税で贈与できるケースがあります。
住宅取得等資金の贈与は最大1,000万円非課税にできる!
財産の贈与を受けたとき、それが家屋そのものであっても、家屋を取得するための金銭であっても、贈与税が課税されます。
贈与財産の価額が大きいほど贈与税の負担も重くなり、最大で55%もの税率が適用されてしまいます。
せっかく財産を与えても、半分以上が贈与税として徴収されてしまうことがあるのです。
しかし家屋は人にとって生きる上で必要不可欠の存在であって、そのための資金を贈与する行為も、贅沢品をプレゼントするような行為と同視することはできません。
そこで「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」が税制上設けられており、住宅取得のための金銭を贈与する場合であれば贈与税の負担を軽減することができます。
制度の概要
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置は「住まいとして使う家の購入・建築などを目的とする資金であって、親や祖父母等から受けた贈与」であるときに適用を受けることができます。
住宅の取得にかかる負担の軽減や、良質な住宅の普及促進を目的に非課税措置は設けられています。
毎年数万件の適用件数があり、多くの方が利用をしている制度といえます。
なお、同制度の適用が受けられるのは2026年12月31日までに贈与をした場合です。これまでも期間の延長が何度か繰り返されているものの、今後の運用については明らかになっていないため贈与を検討しているのであればこの期間内に実行した方が良いでしょう。
非課税限度額は住宅の性能で決まる
非課税にできる金額には限度があります。そしてその限度額は、取得・建築等をする「住宅の性能」により定まります。
住宅の区分 | 非課税限度額 |
---|---|
耐震性能や省エネ性能、バリアフリー性能のいずれかについて、一定以上の水準であることが証明された住宅 | 1,000万円 |
その他の住宅 | 500万円 |
※既存住宅の場合、「耐震基準に適合していること」または「昭和57年以降に建築されていること」が求められる。
※原則、贈与のあった年の翌年3月15日までに住宅を取得しないといけない。
要は、質の高い住宅を取得するためであれば1,000万円まで贈与しても非課税となり、その他の住宅を取得するときでも500万円までの贈与なら非課税にできるということです。
非課税措置の要件
この制度により贈与税の負担を軽減するには、受贈者(贈与を受ける方)が①贈与の時点で18歳以上であること、②合計所得金額が2,000万円以下であること、③贈与者の直系卑属(子どもや孫などのこと。)であること、の3つは満たしておかないといけません。
また、住宅の面積についても「床面積50㎡~240㎡」と制限がかけられています。
※合計所得金額が1,000万円以下であれば、下限は「40㎡以上」となる。
※床面積の50%以上を居住目的で使用することも必要。
次に挙げる細かな点にも留意しましょう。
- 家屋を「取得」する場合は、次のいずれかに当てはまる必要がある。
> 過去に使用されたことはあるが「建築が昭和57年1月1日以降」または「地震に対する安全性に係る基準に適合する」。
> 取得までに耐震改修工事の予定があり「都道府県知事等への申請を行う」かつ「贈与を受ける日の翌年3月15日までに耐震基準に適合する」。 - 家屋を「増改築」する場合は、工事費用が100万円以上であることと、検査済み証等によって工事に関する証明ができることが必要。
非課税措置が受けられるかどうかで税負担に大きな差が生まれるため、贈与を行う前に一度税理士に相談し、要件を満たせるかどうか確認しておくことをおすすめします。
適用を受けるための手続
上記要件を満たした上で、この措置の適用を受けるために申告手続を行いましょう。
贈与税の申告書に適用を受ける旨の記載をしなければ、要件を満たしていたとしても通常通りの税負担が発生してしまいます。
そこで「資金をもらい受けた翌年2月1日から3月15日まで」に申告書を作成して、住宅性能や工事に関する証明書など、必要書類も揃えて税務署へと提出しましょう。
なお、申告手続をしないといけないのは贈与をした方ではなく、資金をもらい受けた方です。
ただし申告手続は税理士に委任することも認められています。
非課税措置の相談から申告まで一貫してサポートを受けておけば、贈与一連の流れはとてもスムーズに進められるようになるでしょう。
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